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地球生命圏研究機構

機構長の挨拶

今なぜ、地球生命圏研究機構か?

初代機構長 安成哲三


 現在の地球環境問題の解決へ向けた地球システムの真の理解には、大気圏・水圏・地圏と生命圏が密接に相互作用するシステムとしての「地球生命圏」を包括的に理解する科学の構築と推進が必要です。英国の環境科学者ジェームス・ラブロックは、「ガイア(Gaia)」という概念で、地球生命圏を捉え、地球環境が生命圏の能動的な役割で大きく調節されていることを指摘しましたが、実際の地球のシステムがどの程度「ガイア」なのか、あるいはどのような「ガイア」なのか、ということはまだ未解明な大きな問題として残されています。この新しい研究機構は、この大問題の解明を含む地球システムの基本的な理解を通して、私たち人類と生命が拠りどころとしている地球とは何かを考究する新しい「地球学」の構築をめざしています。
 これまでの地球環境研究は、しかしながら、物理・化学的な手法による地球科学と、生態・生理学などの生物科学が個別に進めてきており、「地球生命圏」を統合的に研究を進める枠組みはありませんでした。わが国では特に、細分化された科学を前提とした縦割り型の研究・教育制度により、この学問的分断はさらに助長されてきました。この現状を打破して、生命の能動的な役割も含めた地球システムの維持と変化のしくみをより深く理解し、地球の未来を考究するために、地球科学・生物科学が協働して新たな研究と教育の枠組みを形成することが喫緊の課題です。本学ではさいわい、21世紀COEなどを通して、(気候変化が生態系に影響するだけでなく、大スケールの生態系は水・エネルギー循環を通して気候をコントロールしているという)気候・生態系の相互作用に関する共同研究などで重要な成果を挙げており、このための基盤が形成されています。

 新機構は、COEに参加した複数の部局・組織に加え、アジア地域での生態学・生物資源学研究に多くの実績をもつ生命農学研究科が参加することにより、地球生命圏の研究と教育(若手研究者の養成)を強力に推進することができます。このような組織は、全国の大学でも初めての試みです。 この機構では、特に、ESSP*1, WCRP*2, IGBP*3など地球環境変化研究の国際プログラムとも連携して、アジアにおける地球環境変化研究の拠点としての役割も担う予定です。また、学内では研究科間の横断的な講義「地球学」や横断的セミナーを通して、この面の教育にも積極的にコミットします。

 

(注)
*1 ESSP: Earth System Science Partnership (地球システム科学パートナーシップ)
*2 WCRP: World Climate Research Programme (世界気候研究計画)
*3 IGBP: International Geosphere Biosphere Programme (地球圏生物圏国際共同研究計画)